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マリインスキー・バレエ2015年東京公演「ロミオとジュリエット」

マリインスキー・バレエの2015年東京公演。12月2日に東京文化会館で上演された「ロミオとジュリエット」を観てきたので、自分の備忘を兼ねてここに残します^^

 

2015年12月2日(水)の配役

音楽: セルゲイ・プロコフィエフ
振付: レオニード・ラヴロフスキー
原作: ウィリアム・シェイクスピア
台本: レオニード・ラヴロフスキー,セルゲイ・プロコフィエフ,セルフェイ・ラドロフ,アンドリアン・ピョートロフスキー(ウィリアム・シェイクスピア作の悲劇に基づく)
舞台装置・衣装デザイン: ピョートル・ウィリアムズ
舞台監督: ユーリー・ファテーエフ
指揮: アレクセイ・レプニコフ
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団


ジュリエット: クリスティーナ・シャプラン
ロミオ: ティムール・アスケロフ
マキューシオ(ロミオの友人): アレクサンドル・セルゲーエフ
ティボルト(キャピュレット卿夫人の甥): ユーリー・スメカロフ
パリス(ジュリエットの婚約者): コンスタンチン・ズヴェレフ
ベンヴォーリオ(ロミオの友人): アレクセイ・ネドヴィガ
キャピュレット卿(ジュリエットの父): ソスラン・クラエフ
キャピュレット卿夫人: エカテリーナ・ミハイロフツェーェワ
モンタギュー卿(ロミオの父): アンドレイ・ヤコヴレフ
ジュリエットの乳母: リラ・フスラモワ
ロレンス神父: アンドレイ・ヤコヴレフ
ヴェローナの大公: ドミートリー・プィハチョーフ
ジュリエットの友人: ナデージダ・ゴンチャール
吟遊詩人: フィリップ・スチョーピン
道化: グリゴーリーポポフ

 

これからが楽しみ!なシャプラン

ジュリエット役のシャプランはマリインスキー期待の若手ということでしたが、とてもお上手!上半身に表現力があり、脚の形も優雅。グラン・ジュテも空気の様にスッと空中を舞っていて、長い手足を持て余している様子がありませんでした。おまけにすごい美人さん!本人がインタビューで、女優と間違えてスカウトされることがあると仰っていましたが、それも納得の美しさ。オペラグラスで追いかけるかいがありました。最初の子供ジュリエットの演技も無邪気で天真爛漫。透明感のある少女っぽさは、往年のフェリを思い起こさせました。乳母さまに後ろから人形を投げつける振付は面白いですね。「えーい!(人形をポイっ)」「まあ、ジュリエット様ったら!」という会話が聞こえてくるようでした。

 もっと見たかった、アスケロフとネドヴィガ

ロミオ役のアスケロフも、ノーブルなたたずまいで技術も確か。ただ、なんだか影が薄かったような…?ラヴロフスキー版の鑑賞は初めてだったのですが、マクミラン版よりもロミオのバリエーションが少なく、もっと見たかったなというのが素直なところです。もっと見たかったと言えば、ロミオの友人ベンヴォーリオも。この人はロミオよりさらに影が薄くて、ほとんど出番なし…。ちょこちょこっと踊ってはいるのですが、あまり目立たず気の毒でした。一人で活躍していたのは、ロミオにジュリエットの死を伝える所ぐらいでしょうか(マイムだけど…)。

 スタイルの良いダンサーばかり

ロミオの友人マキューシオ役のセルゲーエフは、ひときわ背が高く手足が長く目を引きますね。カーテンコールで出てきた時も、この舞台では珍しく黒い細身の衣装と相まって、まるでモデルの様でした。総じて旧東側のバレエカンパニーは、背が高く顔が小さく手足が長い、類まれなスタイルの方が多いですね。コール・ドもダンサーの身長差でデコボコした感じが無く、何というか綺麗に整っています。これも伝統かお国柄なのでしょうか。12/4から公演される白鳥湖ではコール・ド・バレエが多いので、きっと壮観でしょうね。

 衣装と舞台美術はちょっと残念…

マリンスキーはビックカンパニーだけあって、スタイルだけでなく技量の点でも粒ぞろいのダンサーばかり。主役級から脇まで、技術の高さが伺えました。一方で残念だったのは衣装と舞台美術…。一昨年来日したミラノスカラ座や、来年来日予定のロイヤルよりも、衣装が地味だし舞台美術はベニヤ板;; これも、ボリショイも含めて旧東側は総じてそんな感じですよね。物資が乏しく人材で勝負するしか無かったソ連時代の名残?ある意味これも伝統なんでしょうか…。それとも飛行機に積む荷物に重量制限があるからかしら。オケも重量制限?に引っ掛かって若干小さくまとめて来たのか、後半は一生懸命鳴らしていたけれど一生懸命感が見えてしまって、ちょっと残念。特に出だしでの木管の不安定さが気になりました。オーボエは繊細だから仕方無いとは思うのですが、それでもソロでプピーって外されるとガックリ来ます。

 ナタリア・マカロワの舞台挨拶

圧倒的にダンサーさんの印象が強い舞台でしたが、いつもより気合が入っていたのかもしれません。というのも、その日の舞台はマカロワさんの参観日(笑)だったからです。ちょうどナタリア・マカロワ女史の75歳の誕生日だったとのことで、開演前にマネージャーから本日の舞台はマカロワさんに捧げますという舞台挨拶。そして1階中央後方の座席にスポットライトが当たり「今日はマカロワさんが客席にいらっしゃっています」との発表が。ざわめきの後、拍手万雷の客席。

私は2階中央後ろにいたのでその時はお姿を拝見できなかったのですが、最後のカーテンコールで舞台上に挨拶に出ていらっしゃいました。思っていたよりもずっとずっと小柄な方でびっくり。ジュリエット役のシャプランよりも、頭一つ分は小柄でしょうか。上品な優しいおばあちゃまという感じでしたが、舞台上ではとりわけ大きな存在感を見せるのでしょう。今までで一番素敵な誕生日です。大好きな日本で誕生日を迎えられて嬉しい。ありがとうございます、という挨拶に、会場からはひときわ大きな拍手。私にとっても素敵な思い出になりました。